エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング     vol.85 ブユ/竹田 正

2017年03月15日(水)

仙台東インター店

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 夏の朝夕にしつこいほどに付き纏われ、チクリとした後、なんだかむず痒いぞ!と気付くと刺された傷口からタラリと出血していたりする。暫く間をおいてからのあの猛烈な痒みと言ったら、蚊など足元にも及ばない。
 アウトドアが好きなものにとって本当に困り者のブユだが、幼虫時代を水中で過ごす水生昆虫である。きれいな水に生息し、生息数が多いだけに渓流のフライフィッシングにも関わりが大きいのである。肌の露出が多くなる時期に刺されるため夏の虫に思えるが、実際は春先から羽化シーズンは始まっているのである。
 私の場合、アダルトが絡んできた釣りというのは今のところ特段の経験はしていないのだが、実際のところ、こんなことがあった。解禁当初、魚が石を食む光景に出くわした。キラキラと煌めき、まるでアユのようだった。今時期アユの訳がないよな、こんなこともあるのか。もしかすると石を這いまわっているニンフでも食っているのかも知れない。そう思い込み、ルースニングで狙ってみたのだ。しかし、あからさまに貪り食っているにも関わらず、これがなかなか食いついてこなかったのである。理解不能の状況ながらも続けているうちに、たまたまヤマメが釣れてきた。そのストマックを確認して驚き、納得したのだった。何やら分からないラーバが沢山出てきたのである。そりゃ、釣れない訳だ。後に調べてみると得体の知れないラーバはブユという事が判明した。それ以来、春のヤマメ釣りでブユのラーバのパターンで楽しい思いをしたことは多い。
 さて、ブユの生息場所だが、早瀬や落ち込みなど、流れの速い部分の底石にマユがびっしり付いているのを良く見かける。水中のことなのであえて石を持ちあげなければはっきりと見えはしないのだが、結構気持ち悪い程のシロモノなのでおすすめしない。遡行中に知らずにそれらを踏んでいる人は多いのではないだろうか。釣りのポイントとしては、流速がある流れの石そのものとその下手が要チェックである。


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 対象を丸で囲んだ。ブユのアダルトらしき個体にもマークした。


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 透明感を意識してレースボディを用いる。カラーは幾つか揃えておくと良いだろう。カラーマーカーで模様を着色するのもお勧めの方法。 


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 ころんとしたフォルムも用意しておくのはアダルトも意識してのこと。ヘッド部分を大きめに黒くして強調。

THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.85 / T.TAKEDA

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