エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング   Vol.114 春の重要種。ナミヒラタカゲロウとマエグロヒメフタオカゲロウ/竹田 正

2021年03月05日(金)

仙台東インター店


 ナミヒラタカゲロウは、東北でもどこの渓流に行ってもよく見かけるカゲロウである。マエグロヒメフタオカゲロウと色合いやサイズがよく似ており、羽化する季節も重なっている感じである。そのため飛んでいる個体を見たときは一見すると見分けにくいが、ナミヒラタカゲロウのニンフは「瀬」に生息しており「水中で羽化」をするタイプなので、慣れると周囲の状況からおおよその見当がつく。



ナミヒラタカゲロウのダンとスピナー。スピナーはより黒く硬質な雰囲気になる。

 マエグロヒメフタオカゲロウは中型のカゲロウで、オギやススキが生えているような里川で見かけることが多い。平地渓流の「緩い流れや岸際の澱み」に多く生息しているようだ。ニンフは水際の石などに這い上がり「陸上で羽化」をする。両カゲロウとも、ダンのウイングにはそれぞれ独特の模様があるので、捕獲すれば両者の区別は明らかである。


マエグロヒメフタオカゲロウ。いずれの個体も♂だが異なる川の個体。右の写真は見つけた時におや?と感じた個体。普段見掛けるマエグロヒメフタオカゲロウよりサイズが心持ち大きく感じられ、体色が濃く赤みが強い印象だった。棲息環境による個体差も考えられるが、もしかするとベニイロヒメフタオカゲロウかもしれない。次に出合った時には、ニンフも含めてもっと良く観察してみようと思う。


 ナミヒラタカゲロウは、早春から4月までの比較的長い期間に見かける印象がある。しかしながら、数日間まとまって羽化するタイミングもあるようだ。平地渓流でちょうど良くこれに当たると、昼過ぎあたりに瀬頭に続く深瀬の流れの筋で、連続したライズが見られるようになる。ぽつりと羽化が始まる頃にウエットフライで釣り始め、ピークとなる時間帯にはドライフライで楽しむ感じ。


グレイオリーブのパラシュートとそれを咥えたヤマメ


#10マーチブラウンウエットとマラードウィングのパターン。この他ブルーダンやグレイフォックスなどが良くマッチする。


 一方のマエグロヒメフタオカゲロウは陸上羽化をするため、あまりライズに関連することは無いように思える。しかし、まとまったハッチになっているときは、これに誘われてトラウトの活性が上がることを経験している。季節がら風が強く吹くため、羽化の最中や羽化後に風にあおられて落水することもあるだろう。また、羽化が目前となったニンフが、岸際や大石周りで忙しなくひょこひょこ泳ぎ回る影響も大きいのではなかろうか。初めて見た人は「何かの稚魚と見間違えるほど」このニンフの泳ぎっぷりは見事である。


 もしこれらカゲロウの羽化を確認して、ライズもあったなら、迷わずドライフライを投げてみたい。サイズは#12、アダムスやクイルゴードン、グレイフォックス、ブルーダンあたりが丁度良い色合いだろう。


アダムス


クイルゴードン


グレイフォックス


パラシュートパターン。ダビングボディやムースヘアボディで。


 ミッジやガガンボの釣りとは異なり、#12のドライフライが使えるのだから、フライが見えないなんてストレスを感じることはない。気分良くキャストできる。良い日に当たれば、これはもう「嬉しい春の饗宴!!」となる。
 
THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.114/ T.TAKEDA
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