エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング    vol.101 桜吹雪が舞い散る頃。オオクママダラカゲロウ/竹田 正

2019年04月19日(金)

仙台東インター店


 そろそろ、おおらかなドライフライの釣りを楽しみたくなってくる頃。もちろん解禁間もない時期でも、水生昆虫の羽化に伴うライズの釣りが楽しめる。しかしながら、バシバシとライズを繰り返すアクティブなヤマメを目にするようになるのは、オオクママダラカゲロウの羽化期に入ってからだろう。桜吹雪が舞い散る頃、早ければお昼前の時間帯に羽化が始まる。ぽこぽこと水面に浮かび上がり、次から次へと流れて来る。いよいよ強くなり始めた春の日差しを浴びると、少し赤みが差した茶色のボディ、キャラメル色のウィングが存在感を主張する。短時間にまとまった量で羽化することもあり、良いタイミングにあたれば、がさがさとすくえるほどに流れ来るその数に圧倒されることもある。


オオクママダラカゲロウ♀
水槽に入ってもらって観察。
 

ハーズイヤーニンフ
ニンフはこれまでの棲みかである川底を離れ浮上する。


フローティングニンフ
無事水面まで辿り着くと背中が割れて亜成虫へと脱皮する。水面で羽化をするこのカゲロウは、羽化の過程を無防備な状態で流されていくことになるが、そこを魚たちに狙われてしまうのである。


パラダン
水面に浮きあがればひとまず羽化に成功。羽化の直後は羽が伸び切らず体もいまだ乾ききっていないため、即時飛び立つ事ができずに水面を流されていく。


CDCダン
数秒ほど流された後、上手く風に乗って飛び立つものもいれば、宙に浮いたと思いきやはらはらと舞い落ち、ひたっと水面にとらわれてしまうものもいる。悲しいかな、パタパタともがけばもがくほど、その波紋と振動が、お腹を空かせた魚を誘ってしまうのだろう。


マーチブラウン
やがて、ある一尾の捕食音を聞き付けた他の魚たちも水面を意識し始めることになる。騒がしくなった水面は更に賑いを増していく。ライズラッシュ!魚も私もこの時を待っているのである。

THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.101/ T.TAKEDA

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