エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング     vol.87 ヒゲナガカワトビケラの季節/竹田 正

2017年05月06日(土)

仙台東インター店


 国内に生息するトビケラの仲間のなかで最大の大きさを誇るのが、ヒゲナガカワトビケラである。その存在感は圧倒的で、初めて見た人はぎょっとするかもしれない。蛾の仲間と勘違いする人もいることだろう。
 その名のとおりヒゲ(触角)が長い。渓流魚にとっては幼虫の時期から重要な餌になっている。釣りにおいても同様に位置しており、ラーバ(幼虫)、ピューパ(蛹)、アダルト(成虫)の各ステージにおいてそれぞれのフライパターンを用意しておくのが良いだろう。特に羽化直前のピューパの釣りやアダルトが水面を走り回るときなどは、非常にエキサイティングな釣りが展開されることが多い。
 ひとたび本流ヤマメがヒゲナガカワトビケラに狂い始めると、この釣りに味をしめたアングラーも狂いだす、というところか。イブニングをマークするのは勿論のこと、大量羽化の時期は早朝も見逃せないのが、ヒゲナガの釣りである。



 ヒゲナガカワトビケラのラーバ。エサ釣りでは黒川虫と呼ばれている。トビケラの類は完全変態する昆虫である。



 ピューパから成虫へと脱皮し、残された殻。この脱皮殻を貪り食うヤマメもいるのだから困ったもの。そんな時はいったいどうやって釣ればよいのやら。何をどうしても、反応しないことがほとんど。


 
 ラーバのパターン。サイズは各種持っていて損は無いと思う。アタリが少ない日中の釣りで荒瀬を攻めるのに欠かせない。



 ピューパのパターン。ロングシャンクフックの#6~8くらいに巻き上げる。



 アダルトの釣りに、スティミュレーター。マドラーミノーもおすすめのひとつ。



 グレートセッジ。大物を狂わせるウエットフライとして、つとに有名なフライである。必ず持っていたいパターン。



 チューブに巻いたグリーンワスプ。アダルトにもピューパにもなる頼もしいパターン。サイズや巻き方、使い方次第で、様々な魚と状況で対応しやすい。



 こちらもチューブで仕上げた。ギニアインブラック。アダルトにもラーバにも。


THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.87/ T.TAKEDA

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