エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング     vol.89 ムネアカオオアリ/竹田 正

2017年06月17日(土)

仙台東インター店


 6月も半ばになると驚くほど巨大なアリを見かける。しかも翅つきである。何度見てもこれにはぎょっとする。フックサイズで#8か#10くらいもあるのだ。このムネアカオオアリ、よく観察すると面白い。何か刺激があると赤黒い体がますます赤くなる。ぶわっぶわっと、脈打つように赤くなる。その様子はまるで怒っているかの様にも見えるのだ。
 さて、盛夏ともなると大方の水生昆虫は羽化期を終えていることが多くなり、フライフィッシングにおいては陸生昆虫を意識せざるを得なくなってくる。そんなとき真っ先にティペットに結ばれることが多いのは、やはりアントパターンだろう。これを瀬や落ち込みの白泡付近に次々と打ち込む。涼やかな渓を歩きまわり、足で稼いで渓魚を探す、夏の釣りの始まりである。


車を停め釣り支度。
足元を見ると・・・
いるいる。



渓を釣り歩いているとここにもいた。苔の上。アブドメンの節が白いのは初めて見た。



水面ぶら下がりタイプのアントパターン。



下から見るとこんな感じ。



ちょいと誇張してアブドメンを赤で仕上げてみた。この色に触発されて食いついてくれることを期待している。



ロイヤルコーチマンも立派なアントパターンとして働く。いや、むしろ陸生昆虫を幅広くカバーできるパターンとして秀逸なのである。現代に伝わるスタンダードパターンの歴史の重みを感じる。

THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.89/ T.TAKEDA

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