エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング     vol.96 里川から源流へ/竹田 正

2018年08月04日(土)

仙台東インター店


 5月中旬以降、いよいよハイシーズンに突入。里の川から源流方面へ足を伸ばし始める頃のコト。渓に一歩踏み出せば、目に映るそれら光景は、いよいよと緑光のヴェールに包まれている。日差しも強くなり里の渓流では日中は夏の訪れを感じることもある一方、源流付近では未だ10℃と水は冷たく、早朝の気温も10℃少々と、寒さを感じることも多い。この時期のウエア装備は臨機応変に対応できるようにして、いざ入渓。

 
川面を伝って草の香りが流れてくる。しっとりとした、緑の風。


   
苔生した流れに身を置く。のんびり渓魚と戯れる。幸福感。


 
木漏れ日は眩しく。水は輝く。


 
日差しを浴び、橙色斑が鮮やかに浮かび上がった。イワナの体はしなやか。自身の尾を噛みつける程曲がりくねる。だからこそ厳しい環境の源流域でも生き延びることができるのだろう。



おやおや、小さいパーマークが12個も並んでいる。


 
この辺りの沢での標準形。このような雰囲気のイワナが多い。


 
カディスの群れ。良く見ると交尾中。水生昆虫が豊富なら魚も育つ。特にカディスが豊富な川は、川床が安定していることが多いようだ。


 
秋には優に尺を超えるであろうヤマメ。立派な体躯。腹部斑点が多いタイプ。大きな沈み石の前に付いていた。


  
美しい流れを遡行していると、新鮮な足跡を発見。砂利場なので危うく見落とすところだった。大きさから明らかにクマのそれ。好調に釣り上がって来ていたものの、迷うことなく即時退渓。無駄な接触は避けたい。



ちなみにこちらはシカの群れによる足跡。



沢の入口で発見。マムシグサ。カッコイイ。


  
緑のトンネル。苔、苔。



うっすら着色斑のイワナ。


   
いよいよ源流域へと…。イワナを支える手が痺れるほど水が冷たい。


 
沢イワナは体が特に柔らかい。掌の内でぐにゃりとする。


 
お腹が橙色。白斑はアメマスを思わせる。



苔も見ていておもしろい。遥か昔、中学の理科の授業を思い出す。


 
梅雨のはしりなのか、しとしと降る雨。やたらにイワナ達がはしゃいだ。



白斑に濃い縁取りがあってくっきり明瞭に見える。


  
白斑は青みがかって見えた。この沢のイワナは冴えた印象。


この日はトロ場がすこぶる好反応だったのだが、イワナ好みのスポットが連続する岩盤エリアの巻き返しや肩では好反応が得られずに終了。まだまだ水が冷たいためだろうか。7月になったら再度訪れてみるとしようか。

THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.96/ T.TAKEDA

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