エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング     vol.94 4月、ヤマメとイワナ。混生域の里川。/竹田 正

2018年07月01日(日)

仙台東インター店


 4月入ってからは、雨は少なめだったのだけれど、今年はそれほど水不足になることも無く、順調に季節が進んできたようだ。思えば昨年春は雪代も大したことが無く、雨も降らずで6月まで渇水が続き苦労したことが思い出される。
 さて、冬枯れが残っていたのはつい先日のこと。川畔はいよいよと芽吹き、緑が溢れてきた。周囲を見渡せば山腹には山桜、川辺や民家の脇では菜の花が咲き乱れていた。これから季節は駆け足で進み、ヤマブキ、ツツジ、フジが次々と花開き、川辺は鮮やかな色彩に溢れ、一気に活気づいてくるのだ。本番直前の、里の渓流でヤマメとイワナを釣り、季節の山菜を楽しんできた。


入渓時にコゴミを発見。


本日の一尾め。尾鰭の朱が印象的だった。


綺麗に整った8個のパーマーク。ちびっこでもこんなヤマメと出合えると嬉しさがこみあげてくる。大きくなれよ!


瀬からは次々とヤマメが飛び出してきた。フライを選んでいる様子は特に無し。


釣り始めから同じフライ。季節がら黄色のパラシュートで釣り上がっていく。


樹木が覆いかぶさる淵ではヒラキにイワナが定位していた。ぽとりとフライを落としてみても全くの無反応。さればと、フライを水面で滑らせてみると追いかけてきてバッサリ。着色斑は無し。


育ち盛りは無邪気なもので、フライをつついては時々鈎掛かりしてくる。このサイズが沢山いるのは喜ばしいこと。アユほどではないが、ヤマメの成長は早い。


流れ落ちる沢筋でワサビが咲いていた。可憐な白い花。


やはり、緩い流れではイワナが顔を出す。着色斑は無し、白斑は綺麗に背部まで。


大きな落差から滴り落ちる一筋の流れ、フライがその落ち込みに飲み込まれると同時に水面下でギランと光った。落ち込みでエサを待っていたヤマメ。


タニヒラタカゲロウか。ぱらぱらとハッチが始まった。


しなやかな体躯の沢イワナという感じ。赤褐色の肌に鮮やかな着色斑が印象的。そんな瞳で見つめられると、ぞくっとくるんだよ。


背部白斑が明瞭。体側にはうっすらと着色斑あり。


またも着色斑がある個体。こうも連続することは、この沢では結構稀な感じ。ふっくらとした魚体。


極小さな白斑、紫の肌。このような個体も良く見かける。個人的にこのような紫イワナが結構好み。


 釣りを終えてのキャンプ。夕飯は炭火で焼き肉。薪は桜の枝を拾ってくる。一緒に味わうのはワサビと菜の花のサラダ。ただ沢水で洗っただけのをそのまま、塩も何も付けないで。こごみはさっと茹でて塩つけて。山の幸、今年もいただきました。この時期の大きな楽しみで、これ無くして本格的な春を迎えた気がしない。ごちそうさまでした。あ、勿論のこと、魚たちは全てリリースです。山も川も、いつもいつも、ほんと、ありがとう。
 
THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.94/ T.TAKEDA

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