Leave No Trace学習会
Leave No Trace学習会
- 開催日
- 2023年11月15日(水)
- 開催場所
- 「ワイルドフィールズおじか」(栃木県日光市)
WILD-1のキャンプ場「ワイルドフィールズおじか」にて、11月15日に「Leave No Trace」の基礎について学ぶ講座が開催されました。この講座は、WILD-1のスタッフとして必要となる、豊かな自然環境を維持するために必要な知識や考え方、テクニックなどを習得することを目的としたWILD-1の社内研修のひとつです。
Leave No Trace(リーブ・ノー・トレース)とは
Leave No Trace(以下LNT)は、環境に対する最小限の影響を目指す環境倫理プログラムです…そんな風に聞くと「ちょっと難しそう」と、思わず敬遠したくなる方も多いのではないでしょうか。実際、公式サイトを見ると「アウトドア活動をする9割の人は、自然へのダメージを認識していない」などと書かれていて、なんだか私たちが楽しむアウトドア活動が自然に対して悪影響を及ぼしている様に思えてきます。
しかし、実際はその逆です。LNTの考え方は至ってシンプル。「もっと自然を楽しむ、長く自然と付き合うために、いま一人一人が “出来るだけ” フィールド環境に優しい行動を心掛けよう」、これがLNTの基本的メッセージです。
また、“出来るだけ”というのも非常に重要なポイントです。「安全性・快適性・環境への配慮」などのバランスについて考えながら、その時々でベストな行動を選択する余地を与えてくれています。
例えば、ぬかるんだ登山道を歩こうとする場合に、スニーカーの登山初心者は、ぬかるみを避けて登山道の脇道を進むことが「安全性や快適性」といった観点からベストな選択と言えます。しかし、十分な防水機能のある登山靴を履くトレッカーにとっては、ぬかるんだ登山道を歩いても支障がないため、「環境への配慮」を優先して本来の登山道が不用意に拡大してしまうことがないように努めよう、といった具合です。
つまり、アウトドア活動を白か黒かで線引きして選択を迫るようなルールではなく、フィールドでの様々なシーンにおいて「環境へのダメージ」という新たな視点、気づきを持ちながら、少しでも「マシ」な選択をしよう、ということです。大切なことは「どこまで意識して行動することができたか」にあります。
7つの原則
LNTでは、7つの原則に基づいた、誰にでもわかりやすい実践可能なテクニックが用意されています。もともとはバックカントリーで生まれたテクニックですが、様々な環境、アウトドアアクティビティに用いることが可能です。
<LNT7つの原則>
- 原則1 事前の計画と準備
- 原則2 影響の少ない場所での活動
- 原則3 ゴミの適切な処理
- 原則4 見たものはそのままに
- 原則5 最小限のたき火の影響
- 原則6 野生動物の尊重
- 原則7 他のビジターへの配慮
今回の研修では、実際のフィールドの中でいくつかの実践について学習しました。
使い終わった食器のキレイな片付け方法
登山の時のように洗い場のない場所で使った食器をキレイにするには?
いくつかのグループに分かれた参加者たちは、いきなり配布されたカレーを食べた後、ティッシュやお茶など手持ちの道具(?)を使ってカレー皿をキレイにしようと奮闘。
パンで拭って食べる者、なかには皿を舐めまわす強者まで登場(笑)
「60mの距離を確保」の実際の意味
キャットホール(緊急トイレ)など、やむを得ず野外処理が必要となる場合に一般的に必要とされる水源やトレイルからの距離は「60m」
では、あなたは実際の野山で60mを正しく測ることができますか?
二人1組となって歩幅と感覚だけで60m先のポイントを見つけました。
焚き火の注意点と完全な灰にする方法
焚き火が及ぼす悪影響は熱による地面へのダメージだけではありません。
不適切な焚き火は、自然に様々なダメージを与えてしまいます。
火をおこすことばかりに夢中で「燃やし切る」ことを忘れていませんか?
様々な形状の焚き火台を使い、薪が白い灰になるまで燃焼するコツを学びました。
事前計画の重要性と楽しみながら計画を進めるスキル
適切な計画と準備は、環境へのダメージを最小限にし、安全で快適なアウトドア活動につながります。準備不足は、時には事故や、環境や文化財へのダメージにも。
事前に考慮したい情報(例)…目的地の情報、天気、地形、装備・服装、持ち込むゴミは最小限に、グループの人数・体力、食料など
自然の素晴らしさを次世代へつなげるために
この研修に参加したスタッフは、LNTの基本について楽しみながら学習し、実践するための具体的なテクニックを習得しました。WILD-1は自然の素晴らしさを次世代へつなげることが使命であると考えています。今後もアウトドアライフを愛する皆様とともに、このような取り組みを継続することで、より多くの方々に環境保護を身近に感じていただけるよう努めて参ります。