フィッシングコーナーより、那珂川水系ヤマメ発眼卵放流作業に参加しました
2024年11月17日(日)
去る11月5日(火)に、オンラインで入漁券が購入出来るサービスを提供されている
「つりチケ」様主催の、那珂川水系でのヤマメ発眼卵埋設作業に参加させて頂きました。
我が国の内水面の漁場を取り巻く環境には様々な問題があります。
異常気象がもたらす大水や夏場の異常な高温、カワウやコクチバスなどの生物による
漁業権魚種の食害、カワシオグサやミズワタクチビルケイソウ、コカナダモなどの
藻類の異常繁茂など、このうちいくつかは全国の多くの河川で課題となっています。
加えて漁協の取り組みとして重要な、漁業権魚種の増殖活動の障害となっているのが
人出不足や高齢化であり、特に地方の漁協になればこういった問題は顕著かと思います。
今回は実際に漁協の関係者の皆さまがどのような増殖活動をされているのか
を遊漁者やそれに関連する企業が知り、実作業を通じて共有させて頂くことで、
漁協だけでなくゆくゆくは地域の企業や人々が協力してより良い漁場を造成、
川を守っていく為の取り組みの一つとして行われました。
放流するのはヤマメの発眼卵で、基本的な放流の方式をいくつか学ばせて頂きました。
放流場所は、親魚が自然産卵を行った産卵床や、産卵適地を避けて行います。
通常ヤマメが産卵を行うのは、水通しが良く砂礫質の浅い瀬尻や淵尻です。
水通しが良くても底石が硬く締まっている場所や、石の大きな場所など、
親魚が自力で産卵床を掘ることが難しい場所を選んで作業をすることで、
本来は産卵に適さない場所を活用することが出来ます。まずは前準備として、
発眼卵の埋め戻しに必要な礫を集め、細かなものから拳くらいのサイズまでに
分けておきます。
①直まき法
発眼卵を埋設する深さまで河床を掘り、固定したパイプの中に発眼卵を
投入、段階的に石のサイズを変えてパイプ周辺を埋め戻して埋設をして
いきます。同様にパイプ内も細かい礫を入れてカサを合わせます。最終的に
パイプを抜いて完了しますが、このとき発眼卵を埋設した下流側には
大き目の石を配置して礫と卵が流出しないようにします。この方式は埋設後に
卵が密接しにくく、水カビなどの感染が伝播しにくいためふ化率が高い方式
だそうです。
埋め戻しが完了した放流場所です。
②容器放流
水通しが良く、卵は落ちず、孵化した稚魚は脱出できる間隔で溝が切ってある
容器(サイズが合えば虫かごなども可)に発眼卵を収めて水中に沈める方式です。
孵化した稚魚が脱出をした後は死卵のみが容器内に残るため稚魚の孵化の割合を
記録することが出来ます。しかし容器内で卵が密接し易く、死卵の原因となる
水カビが染り易いという欠点もあるそうです。
こちらは容器を埋設した場所に目印を立てています。
③容器放流(観察用)
上記2つの方式は礫をかけて埋設をするため、稚魚が孵化し浮上を開始する
までは観察が出来ません。今回は発眼卵の成長の過程を観察できる位置に
写真のような卵を入れた容器も設置しました。
今回放流をした発眼卵は積算温度で250℃くらいもので、孵化には更に
150~200℃が必要となります。平均水温が10℃とすれば、11月の下旬頃
には孵化が始まると思われます。可能であれば稚魚の観察もしてみたいと
思います。
現場あっての釣りであり、元より淡水の魚類は餌が乏しく環境的にも厳しい
場所で生きていることを今一度考え、釣り人個人としても、今後も地元河川
で末永く釣りを楽しむために様々なことを考えるとても良い機会を頂きました。
今後も産卵床の造成など実作業が出来る機会があれば参加させて頂こうかと
思います。このような機会を設けて頂きました「つりチケ」様、当日ご指導
下さいました 那珂川、おじかきぬ、鬼怒川の各漁協の皆様、栃木県漁連様、
水産試験場技師様、この度は大変有難うございました。
「つりチケ」様主催の、那珂川水系でのヤマメ発眼卵埋設作業に参加させて頂きました。
我が国の内水面の漁場を取り巻く環境には様々な問題があります。
異常気象がもたらす大水や夏場の異常な高温、カワウやコクチバスなどの生物による
漁業権魚種の食害、カワシオグサやミズワタクチビルケイソウ、コカナダモなどの
藻類の異常繁茂など、このうちいくつかは全国の多くの河川で課題となっています。
加えて漁協の取り組みとして重要な、漁業権魚種の増殖活動の障害となっているのが
人出不足や高齢化であり、特に地方の漁協になればこういった問題は顕著かと思います。
今回は実際に漁協の関係者の皆さまがどのような増殖活動をされているのか
を遊漁者やそれに関連する企業が知り、実作業を通じて共有させて頂くことで、
漁協だけでなくゆくゆくは地域の企業や人々が協力してより良い漁場を造成、
川を守っていく為の取り組みの一つとして行われました。
放流するのはヤマメの発眼卵で、基本的な放流の方式をいくつか学ばせて頂きました。
放流場所は、親魚が自然産卵を行った産卵床や、産卵適地を避けて行います。
通常ヤマメが産卵を行うのは、水通しが良く砂礫質の浅い瀬尻や淵尻です。
水通しが良くても底石が硬く締まっている場所や、石の大きな場所など、
親魚が自力で産卵床を掘ることが難しい場所を選んで作業をすることで、
本来は産卵に適さない場所を活用することが出来ます。まずは前準備として、
発眼卵の埋め戻しに必要な礫を集め、細かなものから拳くらいのサイズまでに
分けておきます。

①直まき法


発眼卵を埋設する深さまで河床を掘り、固定したパイプの中に発眼卵を
投入、段階的に石のサイズを変えてパイプ周辺を埋め戻して埋設をして
いきます。同様にパイプ内も細かい礫を入れてカサを合わせます。最終的に
パイプを抜いて完了しますが、このとき発眼卵を埋設した下流側には
大き目の石を配置して礫と卵が流出しないようにします。この方式は埋設後に
卵が密接しにくく、水カビなどの感染が伝播しにくいためふ化率が高い方式
だそうです。

埋め戻しが完了した放流場所です。
②容器放流
水通しが良く、卵は落ちず、孵化した稚魚は脱出できる間隔で溝が切ってある
容器(サイズが合えば虫かごなども可)に発眼卵を収めて水中に沈める方式です。
孵化した稚魚が脱出をした後は死卵のみが容器内に残るため稚魚の孵化の割合を
記録することが出来ます。しかし容器内で卵が密接し易く、死卵の原因となる
水カビが染り易いという欠点もあるそうです。



こちらは容器を埋設した場所に目印を立てています。
③容器放流(観察用)
上記2つの方式は礫をかけて埋設をするため、稚魚が孵化し浮上を開始する
までは観察が出来ません。今回は発眼卵の成長の過程を観察できる位置に
写真のような卵を入れた容器も設置しました。

今回放流をした発眼卵は積算温度で250℃くらいもので、孵化には更に
150~200℃が必要となります。平均水温が10℃とすれば、11月の下旬頃
には孵化が始まると思われます。可能であれば稚魚の観察もしてみたいと
思います。
現場あっての釣りであり、元より淡水の魚類は餌が乏しく環境的にも厳しい
場所で生きていることを今一度考え、釣り人個人としても、今後も地元河川
で末永く釣りを楽しむために様々なことを考えるとても良い機会を頂きました。
今後も産卵床の造成など実作業が出来る機会があれば参加させて頂こうかと
思います。このような機会を設けて頂きました「つりチケ」様、当日ご指導
下さいました 那珂川、おじかきぬ、鬼怒川の各漁協の皆様、栃木県漁連様、
水産試験場技師様、この度は大変有難うございました。