エッセンス オブ フライ フィッシング & エッセイ オン フライ フィッシング    vol.110 ピーターロスとブラック&オレンジ/竹田 正

2020年06月26日(金)

仙台東インター店


 ピーターロスというウェットフライ、鮭の稚魚を連想させるパターンとして紹介されることもあるが、もともとはアトランティックサーモンを釣るためのものらしい。ピーターロスのウィングにはティールを用いるが、確かに、この縞模様が鮭稚魚のパーマークに見えなくもない。また、ソラックスの赤いダビングは、なるほど、稚魚の卵のうを連想させる。とは言え、本州では鮭の稚魚が浮上する時期に、それを狙うトラウトを釣る機会は無いだろう。
 鮭の稚魚が釣りに絡んでくるのは、春の降河時期。本流のヤマメやイワナ、アメマスが、5~6cmくらいに成長した鮭の稚魚を追っていることがある。となれば、ピーターロスの赤い色は卵のうのイメージではなくなり、差し詰め真っ赤な鰓のイメージ、といったところか。


ピリリと赤が引き立つ澄んだ水の日中に使いたいパターン。


大物狙い用にサーモンフックにドレッシング。雨後増水の引き水の時に使いたい感じ。


 初夏を過ぎると、台風の通過や豪雨により強い濁りを伴う増水に見舞われることがある。特に最近の気候はヒステリックで、いざ釣ろうとしているのにゲリラ豪雨にあたってしまう事も度々である。折角釣りに来たものの、釣りができないほどの大増水なら諦めるほかないが、多くの場合なんとか釣りにはなるものだ。
 岸際には濁りが幾分薄れ、魚たちが激流から逃げ込んでくるポイントがある。もしフライを泳がせることができるようなら、濁りに臆することなくチャレンジしてみたい。普段はなかなか手が届かない大物に接近遭遇できるチャンスかもしれないからだ。
 濁りでミルクコーヒーのように色のついた状況下では、ブラックとオレンジを基調にしているウェットフライを選ぶことが多い。良く目立つようにフライのサイズはできるだけ大きめにする。砂利が堆積している岸際、馬の瀬や駆け上がりを見つけて、じっくりと探りを入れてみるのである。ドスン!と大物からのアタリがやってくるかもしれない。

 
ブラック&オレンジ。ブロンズマラードのウィングを纏ったウェットフライ。

 
GP ジェネラルプラクティショナーのバージョンとクラシック・パターン。


THE ESSENCE OF FLY FISHING & THE ESSAY ON FLY FISHING vol.110/ T.TAKEDA

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